消費税の経理方式は2種類
消費税の課税事業者に該当した場合、
経理方法も変更となります。
その選択肢は、以下の二つになります。
- 税抜経理方式
- 税込経理方式
なお、先にご紹介しますが
どちらを選んでも
税金が安くなることはありませんので
どちらを選択してもよいことになります。
具体的な経理処理
それでは、具体的な仕訳例を紹介します。
小売店が商品(標準税率10パーセントが適用されるもの)を7,000円(税抜き)で掛仕入し、10,000円(税抜き)で現金で販売した場合
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まずは、税抜経理方式ですが、
課税売上げに係る消費税等は
「仮受消費税等」で処理し、
課税仕入れに係る消費税等は
「仮払消費税等」で処理をします。
仕訳を行う都度、
本体の価額と消費税等の額に
それぞれ分けて仕訳することになり
日々の経理方法は手間が増えることになります。
次に、税込経理方式ですが、
消費税等の額も含めた税込金額にて
仕訳処理を行います。
日々の仕訳数は、少なくなりますので
経理処理を行う上では、
入力数は少なくなります。
仮に1年間の取引が上記だけだった場合に
決算時に行う納付税額の仕訳は、
以下の通りとなります。
![画像を拡大表示](https://assets.st-note.com/img/1644969345321-1wpLPIUL8n.jpg)
預かった消費税1,000円から
支払った消費税700円を
引いた300円が納める税金となります。
税抜経理方式では、
預かった消費税と支払った消費税が
それぞれ仮受消費税等・仮払消費税等に
計上されておりますので、
それぞれの金額を相殺して
納める税金を「未払消費税等」に計上しています。
一方、税込経理方式では、
預かった消費税と支払った消費税を
認識していませんので、
納める税金を「租税公課」に計上し、
同時に「未払消費税等」を計上しています。
一見すると、税込経理方式では
決算時に「租税公課」という必要経費が計上され
必要経費が多くなるように見えますが、
結果は変わりません。
それでは、決算時の仕訳を行う前の
損益計算書で比較します。
◆税抜経理方式
売上 10,000
仕入 7,000
利益 3,000
◆税込経理方式
売上 11,000
仕入 7,700
利益 3,300
上記の状態に決算時の仕訳を行った後の
損益計算書が以下となります。
◆税抜経理方式(変動なし)
売上 10,000
仕入 7,000
利益 3,000
◆税込経理方式
売上 11,000
仕入 7,700
租税公課 300
利益 3,000
これで、どちらの方法で経理しても
結果は、利益の金額は変わらないことになります。
メリットとデメリット
それでは、どちらを選択すればよいかですが
それぞれのメリットとデメリットを
ご紹介します。
![画像を拡大表示](https://assets.st-note.com/img/1645010267496-a2jegoSLcB.jpg?width=800)
まずは、帳簿作成ですが、
先にもご紹介した通り
税抜経理方式は、仕訳の都度
消費税を認識する為、
非常に手間がかかります。
次に業績の把握ですが、
先程の例の通り、
税込経理方式は
消費税の計算後に未払計上することにより
最終の利益が判明しました。
一方の税抜経理方式では、
損益計算書上では
消費税額が含まれていませんので、
業績の把握は一目瞭然となります。
最後に固定資産の取得価額についてですが、
税抜経理方式では、消費税額は含みませんが
税込経理方式では、消費税額を含みます。
よって、1台あたり10万円未満の判定を
する場合は、税抜経理方式の方が有利になります。
まとめ
今回は、消費税の経理方式について、
ご紹介しましたが、
それぞれの業態や
仕訳数により判断は異なります。
自分に合った方式を
充分に検討し、
選択しましょう。
処理に迷った際は
スエナガ会計までご連絡下さい。
日々の経理処理から
ご提案致します。