家業を継がなかった身として

事業承継・M&A

現在、中小企業において
後継者不足が深刻化し、
大きな社会課題となっています。

事業承継がうまくできず
「廃業」となってしまえば、
後世に必要な製品や技術・ノウハウが
終わりを告げることになり、
日本はどんどん貧しい国に
なりかねないと危惧しています。

そんな私も、
実は家業を継がなかった身です。

今回は、家業を継がなかったことによる
後悔について、紹介します。

足元のデータ

まず、先に紹介したいのは、
中小企業白書2023より
中小企業の廃業件数です。

2023年度 中小企業白書 新たな担い手の創出

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毎年5万社程度の法人が廃業等を
行っているのが見て取れます。

総務省の集計では、令和3年6月時点での
企業等は368万社と言われており、
割合からすれば1%程度ではありますが、
開業数が上回らない限り、
今後も企業数は減り続けるでしょう。

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次に、廃業した企業のうち
約55%は黒字企業です。

儲かっているのに後継者がいない為
廃業等を余儀なくされた割合です。

先程の廃業数5万社に対し、
約2.7万社が黒字廃業です。

このように、儲かっている企業でも
廃業を余儀なくされる状況が続くと
必要な技術が伝承されず
日本の産業競争力は今後、益々低下するでしょう。

実家の家業

では、私の実家の家業ですが、
父が一人で建設業をやっておりました。

俗にいう「一人親方」ですね。

実家の家業は、
すでに廃業してしまいましたが、
私から見ても父の職人としての腕は確かだと思います。

今でも元気にいろいろな現場で
働いており、引っ張りだこという印象です。

母からは内緒で、承継の話が

そんな父が事業をやっていた頃、
父の本音は「私に継いでほしい」というのを
母から聞かされました。

ただ、父は
「私には私の人生があるから、絶対に言うな」
との事だった様です。

そもそも「言うな」と言われて
私に喋る母もどうかとは思いますが・・・(笑)

その当時の私は、
実家から離れて暮らし、
経理事務員として働く日々でした。
(そんなに税理士試験には、真剣に向き合っては
いなかった時期だと思います)

私の中から導き出された答えは
そんな、現場仕事なんて無理!!
でした。

今思えば、なんて浅はかな答えだ
と思ってしまいますが、
あの当時の私には精いっぱいの答えです。

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では、今なら何と答える?

ただ、今になって思うのは、
もっと違った方法もあったはず
と思っています。

確かにその当時の答えは、
大工という職業上、
現場での仕事がわからなければ、成り立ちません。

でも、それは大工を継ぐなら
という前提の話です。

「継いでほしい」と思った父の本音が
何だったのかは
本人に確認していないのでわかりませんが、
継いでほしいのが
「名前」なのか
「技術」なのか
それは定かではありません。

ただ、私が継いだからといって
必ず大工にならなければいけないかというと
それも違うと思っています。

きっと、私が現場に出なくても
事業として成り立つ方法はあった
と思っています。

例えば、私が設計士になり設計・施工を行い、
父が引退後に設計事務所に業態変更することもありだと思います。

他には、若き大工の卵を集め
父の技術を伝承する学びの場を提供し、
人手が足らない現場へ派遣することもできたでしょう。

このように、事業の引継ぎは、
今行っている事業を
そのままそっくり引き継ぐだけが答えじゃない

と、私自身は思います。

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問題は、他のところにあった

正直、父の事業の問題は、
後継ぎ問題よりも、他の個所にあった
と私は思っています。

大工という仕事は、
ただ現場で黙々と家を建てている訳ではなく、
商談、見積もり、契約、設計、材料仕入れ、
引き渡し、請求、入金確認と
様々です。

この他にも、支払い、資金調達等々
現場以外の仕事もたくさんです。

父は、この営業や経理、財務という
面では、かなり苦労している印象でした。

若い時から現場一筋で働いてきた職人なので、
このような仕事に向かないのは
無理はないと思います。

この部分の業務を引き取って、
現場に集中できる環境を作るだけでも
父の事業はずいぶん違う方向に向き、
生産性もはるかに上がったのではないかと思います。

そういう面でいえば、
最初から本格的に引き継ぐのではなく、
この部分の業務から引き取って
少しずつ、今後の事業に落とし込んでいく
というお試しをしても
よかったのではないかと思っています。

無くなってしまっては、後の祭り

今、自分が税理士事務所を経営する身になり、
売上のあげる方法は一つじゃない
と思えるようになりました。

だから、今あの時に戻れるなら
違った方法を試していたでしょう。

でも、それは無くなってしまってからでは、手遅れです

あの当時の私には、
そんな引き出しは持ち合わせていませんでした。

だから、しょうがないんでしょうが、
父の事業の可能性をつぶしてしまったのではないかと
後悔が残っているのも事実です。

なくすのは、簡単です。

でも、なくなったものを元に戻すのは、ほぼ不可能です。

正に「後悔先に立たず」です。

そんな想いから、事業承継専門の税理士に

そう思うと、
少しでも望まれていない廃業を
少なくするため、
中小企業の事業承継を
専門とする税理士事務所としました。

少しでも、望まれない廃業を無くしたい。

残せなかった想いと
残さなかった後悔は
限りなく「ゼロ」へ

当事務所では、
・現経営者
・後継者
・非後継者
の想いに焦点を当て、
事業承継をサポートしていきます。

スエナガ会計事務所 事業承継サポート

まとめ

今回は、私の実家の家業を
継がなかった後の後悔を紹介しました。

何度も言いますが、
なくすのは簡単ですが、
なくなったものを取り戻すのは不可能です。

大切な家業、
なくなる前に真剣に
現経営者と腹を割って話してみませんか。

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