今回ご紹介するのは、2024年7月から発行される新紙幣とタンス預金について、相続税の観点から紹介します。
タンス預金のメリットとデメリット、相続税対策になるのか否かについて確認していきます。
日本のタンス預金は、50兆円超
まずは日本のタンス預金がどの位あるのかですが、以下の第一生命経済研究所の集計では、59.4兆円と集計されています。
日本銀行が集計した資金循環統計では、家計の現金流通量が108兆円となっていますので、約半分はタンス預金という事です。
資金循環 : 日本銀行 Bank of Japanwww.boj.or.jp
では、日本ではなぜこんなにタンス預金が多いのか、メリットとデメリットを見ていきます。
タンス預金のメリット
いつでも自由に必要な額だけ取り出せる
銀行に預金している場合、銀行の営業時間によってはATMが使えなかったり、手数料が発生したりします。
これに対しタンス預金は、時間や場所及び手数料を気にせず、使いたい時に必要な額を取り出すことができます。
相続発生時に銀行口座が凍結されない
被相続人が亡くなって相続が始まると、遺産分割協議が終わるまでは被相続人の預金口座が凍結されてしまい、現金を引き出すことができなくなります。一定金額までは引出しもできますが、相続が発生した場合は葬儀費用などで何かとお金が必要になるので、ある程度まとまったタンス預金があれば、現金での支払いに困らないので便利です。
銀行が破綻しても心配がない
銀行が倒産した際に保証されている額は1金融機関につき1,000万円までです。そのため、1,000万円以上の預金がある人は保証額以外が消えてしまう可能性があります。
これに対しタンス預金は、銀行が破綻しても資産を守ることができます。
国に知られにくくなる
株式や仮想通貨等に投資したりすると、税務署が調べればすぐに資産総額を割り出されてしまいます。
しかし、タンス預金であれば、国が資産総額を把握するのは容易ではなくなるため、国に知られにくくなります。
タンス預金のデメリット
利息がつかない
銀行に預けておけば、利息がつきますが、タンス預金では、利息が発生する事はありません。
災害や盗難のリスクがある
タンス預金の場合、現金が、火災や地震、洪水などの災害や盗難で消失するリスクがあります。
これに対し銀行に預けておけば、仮に災害の被害にあったとしても、預金は守られますし、通帳が燃えたとしても再発行してもらうことが可能です。
遺産相続の際にトラブルの引き金になる
タンス預金が遺産相続のトラブルを招くケースがあります。
タンス預金は、その存在を証明する証拠がなく、亡くなった方の近親者などが無断で持ち去っても「そんなものはない」と主張されれば、他の相続人は証明する事が出来ない為、相続する事ができません。
よって、相続開始後は現金等が持ち去られないように十分注意する必要があります。
新紙幣に変わると、どんな影響があるのか?
日本では、2024年7月3日より新しい紙幣が発行されます。
ここでは、新紙幣に変わった際のタンス預金の懸念事項を見ていきます。
この新紙幣を発行する理由は、「偽造の防止」となっていますが、その他にも影響が考えられます。
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旧紙幣が使用できなくなるわけではない
上記の際とのQ&Aにも紹介されていますが、旧紙幣が使用できなくなる予定はありません。
よって、使用はすること自体は問題ありません。
しかし、ATMや自動販売機など、いずれ対応しなくなることが考えられます。よって、利便性は徐々に低くなっていくことが考えられます。
これにより、どこかのタイミングで新紙幣に交換する手続きが必要になるものと考えられます。
相続対策に使えるのか?
では、タンス預金が相続対策に使えるかですが、タンス預金は税務調査で発覚する可能性が高いと考えられます。
新紙幣を入金すると在らぬ疑いをかけられることも
先程の新紙幣でも触れましたが、不自然に多額の旧紙幣を交換に行くと、疑わしい取引として通報される可能性があり、税務署に把握される可能性が高いです。
預金取引を調査される
亡くなった方だけでなく、家族の預金取引もすべてチェックします。よって、出金履歴があり使途の説明ができなければ、疑いをかけられます。
法定調書より情報を取得している
法定調書という書類について、保険会社や証券会社などから法定調書の提出を義務付けています。これにより、亡くなった方の収入や資産状況を把握し、明らかに相続税の財産が少なければ、調査の対象となります。
このようにタンス預金を相続対策とすることは、避けた方がよいと考えます。あくまでも生活に必要な最低限の金額に留めておくことをお勧めします。
まとめ
今回は、現在50兆円を超えているタンス預金と新紙幣発行に伴う影響を相続税の観点から考えてみました。
タンス預金には、メリットもありますが、ほどほどの金額にしておかないと後で払う代償の方が大きな場合も考えられます。
必要最低限に留めて手許に置いておくように心がけましょう。
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