今回ご紹介するのは、中小企業の融資の際の新しい担保「企業価値」についてです。
最近は、事業承継やM&Aにおいて、経営者の資産が担保となる「経営者保証」がネックになるケースも多いですが、新たに成立した「事業性評価推進法」により、新たな選択肢が増える事となりました。
今回は、新法の「企業価値担保」について、その内容と注意事項を紹介しています。
新法の概要
6月7日に成立した「事業性融資の推進等に関する法律案」は、以下の通りです。
https://www.fsa.go.jp/common/diet/213/02/setsumei.pdf
要約すると以下の通りです。
① 無形資産を含む事業全体を担保とする制度を創設する。
② 企業価値担保権を活用する場合、経営者保証の利用を制限する。
無形資産も担保価値があり、借入の選択肢が拡大
担保価値がこれまでの土地や工場などの「形のある資産」からノウハウやブランド力などの「形のない資産」も含むことから、資金調達の選択肢が増える事になります。
また、経営者保証の利用も制限される為、今までより利便性も向上する事が期待されます。
中小企業が企業価値担保で注意すべき事
では、中小企業がこの企業価値担保を利用する場合の想定される注意事項を紹介します。
業績を良くし、タイムリーな業績把握が必要
当然ですが、担保が「企業価値」となりますので、業績が良い事が必須です。
よって、創業期などでも早期に利益の出る経営の仕組み化が必要ですし、月次データもリアルタイムに把握し、毎月、金融機関に報告する事が望まれます。
また、業績が悪くなれば、金融機関より早期に経営改善に取り組むこととなりますので、今まで以上に金融機関と密に情報共有する事が求められます。
業績が悪くなった場合でも困らない保障を準備
経営している以上、不測の事態も起こり得ます。
近年、新型コロナウイルス感染拡大により、不測の事態がある日突然起こる事を身に染みて体験しました。
このように、自社の努力では変える事のできない事態は起こり得ますので、有事の際の保障を用意しておくことも、非常に重要となります。
ひとつの方法として、「生命保険」を活用する事が考えられます。
その為には、日頃から保障も準備できるような収益構造を作っておく必要があり、適正な利益率がいくらなのかを社内で共有し、チェックするようにしましょう。
まとめ
今回は、借入の際の経営者保証の代わりになる「企業価値担保」について、紹介しました。
企業価値を評価するには、本業の業績が重要です。
まずは、利益が計上できる経営を目指して、企業価値を高めるところから始めましょう。
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